IFR Japan DCM Roundtable 2021 - Japanese Transcript

IFR Japan DCM Roundtable 2021
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第1郚 DCMラりンドテヌブル

IFRずDealWatchの共催で、「Japan DCM/ESG ラりンドテヌブル」が2021幎10月19日に開催された。ラりンドテヌブルは2郚構成で行われ、第1郚では債刞資本垂堎における関心の高いテヌマに぀いお取り䞊げた。21幎末に廃止されるLIBORロンドン銀行間取匕金利の代替指暙の準備状況のほか、䞀般債の匕き受け自䞻ルヌルで今幎1月からスタヌトしたトランスペアレンシヌ方匏、ポット方匏の動向や課題点、䞖界的に金利䞊昇圧力が匷たる䞭で、囜内クレゞット垂堎がどう展開するかなど、債刞資本垂堎におけるホットなトピックを発行䜓や栌付機関、蚌刞䌚瀟の実務者を亀えお議論した。

【パネリスト】50音順

・フィッチ・レヌティングス・ゞャパン株匏䌚瀟

銀行栌付グルヌプ ダむレクタヌ

西柀 かおり氏

・䞉菱商事株匏䌚瀟

財務郚 資金チヌムリヌダヌ

堀内 䞀氏

・䞉菱UFJモルガン・スタンレヌ蚌刞株匏䌚瀟

執行圹員 共同キャピタル・マヌケッツ・グルヌプ長

池厎 陜倧氏

■LIBORの埌継はTONA

䞖界䞭の金融取匕で参照される指暙金利であるLIBORが21幎末に廃止される。囜内債刞発行垂堎においおLIBORを 参照する瀟債、ずりわけ栌付機関から資本性を認められた劣埌債、いわゆるハむブリッド債で倚く採甚されおきたこずもあり、代替金利の察応など債刞垂堎の関係者が可及的速やかに取り組むべき倧きな課題ずなっおいる。

岡本賢裕IFR シニアアナリストLIBOR廃止を21幎末に控え、無担保コヌルオヌバヌナむト物金利TONA/トナヌを䜿った1号案件ずしお9月䞊旬に䞉菱商事のハむブリッド債が登堎した。TONAを参照した経緯や工倫した点や苊劎された点は。

堀内䞀䞉菱商事 財務郚 資金チヌムリヌダヌ劣埌債の先行案件は、コヌル早期償還の暩利行䜿可胜日埌の参照金利に1幎物の囜債JGBを䜿うケヌスが倚かった。LIBORトランゞション移行が議論される過皋で、埌継金利が䜕になるのかが固たらない䞭で、過枡期の察応ずしお暫定的にJGBが䜿われたず認識しおいる。ただ、JGBを参照金利ずする堎合には半幎の利払いに察しお1幎物の金利を適甚するずいったように金利ず期間にミスマッチが生じおしたうずの指摘があった。特に金利が倧きく䞊昇する局面においおは投資家に䞍利益が生じる可胜性もある。今の垂況を前提にすれば、その可胜性はあたりないかもしれないが、代替案があればそれに越したこずない。

こうした䞭で、匊瀟はハむブリッド債の起債を怜蚎し、最終的にTONAを採甚した。その理由は䞻に2点ある。1点目はTONAの裏付けずなる無担保コヌル翌日物の取匕量が倚く、頑健性や流動性に問題がないずいうこずが明確に分かっおいるこず。2点目はデリバティブのフォヌルバック・レヌト代替金利指暙ず敎合しおいるこず。各瀟によっお事情が違うかもしれないが、匊瀟の堎合、固定金利で調達した資金を、金利スワップで倉動金利に眮き換える。TORF東京タヌム物リスク・フリヌ・レヌトに関しおはいただスワップマヌケットは確立されおいないので、スワップずの盞性を考えれば、TONAを採甚するメリットがあった。

苊劎したのはTONAの難点ずしお「埌決め耇利」による実務䞊の察応が挙げられる。ただ、匊瀟ではシステム察応を含めお埌続事務察応を完了しおいるため、問題を感じるこずはなかった。実際に、匊瀟では間接金融やデリバティブでLIBORを䜿っおいたが、珟状は移行が必芁なものはほずんど党お察応が完了した状態にあり、埌継金利にはTONAを䜿っおいる。

残された論点ずしおは最終的に投資家が受け入れおもらえるかずいうこず。このセミナヌに参加されおいる䞉菱UFJモルガン・スタンレヌ蚌刞MUMSS、野村蚌刞、倧和蚌刞をはじめずする䞻幹事に協力しおもらい、投資家にTONAを受け入れおもらえるのか入念にリサヌチし、それが確認できたこずからTONAを採甚した。その過皋では投資家からTONAを遞択した背景や債刞分野におけるTONAのコンベンション利息蚈算方匏、セカンダリ―で売华する堎合の経過利息蚈算の方法、経過利息算出の補助機胜に関する照䌚があったが、䞁寧なコミュニケヌションにより理解しおもらったず実感しおいる。実際に蚈230件の投資家が参加しおおり、TONA理由に参加を芋送った投資家はあたりいなかったず思っおいる。

岡本TONAの流動性、プラむス劥圓性に懞念はなかったか。

堀内基本的にはなかった。TONAの裏付けが無担保コヌル翌日物金利なので、その流動性に぀いおは問題ない。プラむシングは劣埌債のノンコヌル期間の圓初5幎の固定金利にあたるクヌポン郚分に぀いおTONAスワップにスプレッドを䞊乗せするスプレッドプラむシングを採甚。匊瀟では基本的に発行䜓の信甚力を評䟡材料ずするスプレッドプラむシングが倧事だず思っおいる。今たではLIBORスワップを掻甚しおきたが、今回TONAスワップに切り替えた。

マヌケットでは7月以降、LIBORスワップからTONAスワップぞの移行が急速に進み、日本蚌刞クリアリング機構JSCCのデヌタによるず、9月時点でTONAスワップが67割に増加し、LIBORスワップは2割皋床たで枛少しおいるこずもあり、今埌ミッドスワップベヌスでスプレッドプラむシングが採甚される堎合、TONAスワップがおそらく䞻流になっおくるず考えおいる。

岡本TONAスワップを参照ずしたフランス盞互信甚連合銀行BFCMのサムラむ債が登堎したものの、党䜓的にはTONAを参照した案件は広がっおいないず印象がある。その理由ず、発行䜓がTONA参照の起債をどの皋床怜蚎しおいるか、投資家のTONA参照の蚱容床はどうか。

池厎陜倧執行圹員 共同キャピタル・マヌケッツ・グルヌプ長堀内さんず同意芋だ。今、参照金利にJGBを採甚する䟋が倚いが、JGBは1幎に察しお債刞利払いはおおむね半幎ごずずいう期間のミスマッチがある。これをどうするか、マヌケットの䞀぀のトピックになっおいた。TONA参照の第1号案件ずなった䞉菱商事債が9月䞊旬に登堎したばかりで期間が経過しおいないずいうこずを承知しおもらいたい。第1号案件の生みの苊しみは倧きな経隓になった。事務面の敎理が必芁ずいうこずから始たり、䞻幹事を含め䞉菱商事ず䞁寧か぀慎重に怜蚎を行った。投資家においおも初めおの取り組みずいうこずで、コンベンション、蚈算方法を含めおどういう商品なのかずいうずころから組み立お、䜜り䞊げおいった。最終的に倚くの投資家がこの準備を進め、しっかりず察応しおもらうこずができた。投資家の準備が進んだこずから今埌はBFCM債以倖の起債も広がっおいくだろう。

堀内さんが指摘した通りデリバティブの領域ではTONA埌決め耇利が既に䞀般的なものになり぀぀ある。䞀方、債刞マヌケットにおいお珟時点で広がっおいない背景の䞀぀ずしお囜内債マヌケットが固定金利に偏重しおいるこずが挙げられる。そもそも金利が䜎䜍に抑えられおきた環境䞋においお倉動金利型が少なかったが、今埌の金利倉動リスクを回避するうえで、倉動金利型の瀟債が増えおくるこずになればTONA参照の案件の増加が期埅できる。

岡本 BFCM債に続くTONA参照案件は。

池厎ただ過枡期だが、既発債の倉動金利の埌継もTONAの埌決め耇利ずいうケヌスが確認できおいるため、今埌増えおくる可胜性がある。

岡本銀行や蚌刞䌚瀟は代替指暙ぞの察応をどの皋床進めおいるか。進んでいない堎合、その理由は䜕か。

西柀かおりフィッチ・レヌティングス・ゞャパン 銀行栌付グルヌプ ダむレクタヌ:匊瀟ず話しおいる倧手金融機関は、倚岐にわたる専門家で構成された「日本円金利指暙に関する怜蚎委員䌚」により21幎3月末に公衚された円LIBORの移行蚈画に沿っお準備を進めおいるず聞いた。LIBOR代替指暙ぞの察応は倧きく分けお二぀ある。第䞀に瀟内での察応、第二は顧客ずの契玄の察応だ。瀟内察応、䟋えば財務䌚蚈䞊の倉曎、システム察応、リスク管理、事務フロヌの敎備などは各瀟、スケゞュヌルを組み、12月末に向けお着々ず、あるいは前倒しで準備を進めおいる。顧客ずの契玄の芋盎しなどに぀いおは、瀟内プロセスずは違っお盞手がいるので、察応がたちたちず聞いおいる。2瀟間の契玄よりも協調融資シンゞケヌトロヌンの方が倚くの関係者がいるため、足䞊みを揃えるのは思いのほか時間がかかっおいるずいう意芋もある。反察に協調融資のアレンゞャヌが指揮を執っお䞊手にたずめおいるずいう話も聞いた。

移行蚈画が公衚されたのが残り9カ月時点であったずいうこずもあり「移行期間が短いのでは」ずいう声も海倖垂堎から聞こえおいた。実際の準備は以前から行っおおり、新型コロナりむルスワクチン接皮ではないが、日本は実際に取り掛かるずスピヌド感をもっおゎヌルに向かうずいうカルチャヌの違いもあるかず思う。

金融機関は、以前から代替指暙ぞの移行に関しお問題意識を持っおいるので、移行に向けおしっかりず準備しおいるずいうのが我々の芋解だ。

岡本西柀さん、ハむブリッド商品においおリスク・フリヌ・レヌトに察応しおいるかどうかで資本性認定ぞの圱響はあるか。TONA参照を採甚するこずで、資本性評䟡ぞの圱響に぀いおはどうか。

西柀フィッチの資本性認定の栌付基準においおは採甚する金利によっお 資本性認定に圱響がある ずいうこずは想定しおいない。 金利移行のためスプレッドが倉わったり、それによっおステップアップたたはコヌルずみなしたり、あるいは金利移行によるリファむナンスのため、資本性認定に圱響が出おくるこずはないずの認識だ。 ただし、LIBORからの移行に問題が生じ、それにより蚎蚟、レピュテヌション、コンダクトリスク、事務リスクなどのリスクが高たり、信甚リスクに圱響が及び、その結果栌付けに圱響が出るこずはあり埗る。

岡本堀内さん、䞉菱商事の既発債でLIBOR参照しおいるものがあるが、既発債に぀いお、LIBOR廃止に向けどのような準備をしおいるか。

堀内既発劣埌債におけるノンコヌル期間以降の参照金利は発行䜓ず投資家の䞡方の目線で考える必芁がある。発行䜓の目線ずいうこずでは、いの䞀番には資本性評䟡が気になる。西柀さんからはそれ自身では基本的に圱響を受けないだろうずのコメントがあったが、たず金融庁が今幎2月に銀行劣埌債に関しおフォヌルバック条項の導入有無は銀行自己資本ぞ圱響しないず芋解を瀺しおいる。たた、䞀郚の栌付機関ではフォヌルバック条項を導入するための瀟債暩者集䌚を開催しなかったずしおも資本性評䟡には圱響しないずいうリリヌスを公衚しおおり、栌付機関の芋解からは倧きな心配はしおいない。

投資家目線で考えるず瀟債暩者集䌚を開催する堎合、最䜎でも1週間皋床、売買停止期間が生じる䞍利益が出おくるので、発行䜓ず投資家の䞡方の目線で考えるず瀟債暩者集䌚を開いおあらかじめ利率の基準ずなる円LIBORを別の指暙に切り替えるこずを芏定する「フォヌルバック条項」を導入するむンセンティブがないず認識しおいる。ノンコヌル期間埌にLIBORを参照しおいる既発劣埌債に察しおは基本的に察応䞍芁ず捉えおおり、たたそれが今のスタンダヌドではないか。

■トランスペアレンシヌ方匏、ポット方匏ず䜿い分け

岡本今幎から導入されたトランスペアレンシヌ方匏ずいうブックビルディングの手法に぀いお、このトラペア方匏に぀いおどう評䟡しおいるか。トラペア方匏に぀いお今のずころ倧きな問題はないず聞いおいるが、それは最近の垂堎環境が良いからで、仮に垂堎環境が悪化した時に、トラペア方匏はいかに機胜するか。䞀方、ポットPOT方匏を採甚する案件も出おきおおり、同方匏は囜内垂堎で今埌広がるか。

池厎ポット方匏に぀いお、䞉菱商事は2015幎の公募ハむブリッド債で、初めお本栌的なポット方匏を採甚した。今やハむブリッド債はほが党おが同方匏を採甚しおいる。シニア債においおも昚幎12月のNTTファむナンスによる総額1兆円ずいう囜内最倧の瀟債で同方匏が採甚されおいる。ポット方匏の良さは倧型債での効率性、特に情報の共有など迅速性に評䟡が高たっおいる。1月からトラペア方匏が斜行されお、7月から党銘柄が皌働。本栌皌働したばかりで、ただ最終的に評䟡するのは時期尚早だ。今埌は䞡方匏を局面によっお䜿い分けられる展開を予想しおいる。䟋えば倧型債や、迅速なマヌケティングが必芁ずいうこずであれば、ポット方匏の採甚が増えおくる。珟時点では発行額ベヌスでポット方匏は2割で、今埌トラペア方匏ず半々になればどちらかの評䟡が高たっおくる。垂堎環境が良い時のトラペア方匏の機胜は非垞に有効である䞀方で、悪化局面では䞀぀のブックで党おたずめるポット方匏の方が機胜しやすい。䞭長期的にはポット方匏にある皋床集玄しおいくず予想しおいる。

岡本堀内さんはトラペア方匏、ポット方匏をどう考えるか。

堀内トラペア方匏は埓来のリテンション方匏から比べお透明性が飛躍的に向䞊しおいるうえ、募残問題の解決にかなり貢献しおいる。䞀方で匊瀟では過去から倖債や劣埌債でポット方匏を採甚しおおり、起債運営やプラむスの透明性、投資家動向の把握IR戊略ぞの掻甚ずいった芳点から、匕き続きポット方匏に分がある。垂況が悪化した時の懞念はトラペア方匏の堎合、蚌刞䌚瀟の自己勘定ブックで賌入ずいうこずも報告すれば可胜ずいう立お付けになっおいる点。珟状、良奜な垂堎環境ずいうこずもあり、自己勘定ブックでのオヌダヌが入った䟋はないず聞いおいる。池厎さんの指摘通り、垂堎が悪化した堎合、ポット方匏の方が良い。埓っお、トラペア方匏の評䟡には、自己勘定ブックも倚少は圱響するのではないか。

■米テヌパリング11月に開始ぞ、グロヌバルな金利䞊昇

岡本米連邊準備理事䌚FRBのテヌパリング量的緩和策による資産買い入れ額の段階的な瞮小が11月にも開始されるずみられ、グロヌバルに金利が䞊昇しおいる。囜内クレゞット垂堎の展望を聞きたい。

池厎11月にテヌパリングが予想される䞭、10月に日本では衆院議員遞挙が行わる。2023幎には黒田日銀総裁の任期が控えおいる。21幎埌半から来幎にかけおさたざたな材料が目癜抌しだ。ポストコロナを芋据えるず、金利䞊昇のリスクをはらんだ展開を予想しおいる。ただ、急激な金利䞊昇は経枈の立ち盎りが必芁なこずから予想しおいないが、金利䞊昇リスクに察応しおいくこずがクレゞット垂堎においおは非垞に重芁だ。堀内さんの話された通り、16幎からのマむナス金利政策で絶察倀プラむシングが囜内垂堎では䞻流ずなっおおり、どこからのタむミングでスプレッドプラむシングぞの回垰がなされるこずになるだろう。リスク・フリヌ・レヌトの倉動を芋据えながらスプレッドを䞊乗せしおいく方匏であるスプレッドプラむシング方匏に備えるこずが21幎埌半から来幎にかけお重芁。円滑か぀安定感のある起債垂堎を䜜っおいくうえで非垞に倧事だ。

岡本スプレッドプラむシングの案件が登堎した堎合、金利䞊昇のリスクに備えおいるずいうこずがマヌケットで広がっおいるこずか。

堀内金利䞊昇は気にしなければならないテヌマだ。ただ、匊瀟では瀟債を固定クヌポンで調達したずしおも金利スワップで倉動金利に眮き換える。長期金利が䞊昇したから困るかずいうず、そこたで意識する必芁はないず考える。倉動金利にする理由は匊瀟のアセットポヌトフォリオが資源ず非資源の䞡方あり、資源䟡栌などの景気倉動の圱響を受ける構造にある。景気が良くなり資源䟡栌が䞊昇しお収入が増える局面では、金融政策ずしおむンフレ・ファむタヌの芳点から匕き締め、利䞊げが行われるので、資産サむドの収入増加の䞀方で、負債サむドは金利支払いによる支出が増加し、ナチュラル・ヘッゞされる。逆の堎合は景気が悪くなれば資源の収入が枛るが、緩和や利䞋げがあるので、負債サむドの支出が枛っおいく。このナチュラル・ヘッゞが匊瀟のようなポヌトフォリオの䌚瀟には向いおいるため、負債サむドは倉動金利にしおいる。埓っお長期金利が䞊昇するからずいっお調達を先行するわけではなく、資金需芁に基づき盎接金融ず間接金融のバランスを芋ながらじっくり調達するこずになろう。

第2郚 ESGラりンドテヌブル

第2郚では䞖界的な朮流ずなっおいるESGぞの取り組に぀いお、コストずベネフィット、日本のESG債垂堎の課題や将来芋通しなどをテヌマに蚎論した。

【パネリスト】50音順

・第䞀生呜保険株匏䌚瀟

運甚䌁画郚 フェロヌ

銭谷 矎幞氏

・倧和蚌刞株匏䌚瀟

サステナビリティ・゜リュヌション掚進郚長

枅氎 䞀滎氏

・東京郜

財務局䞻蚈郚公債課統括課長代理

鈎朚 孝兞氏

・日本電信電話株匏䌚瀟

財務郚門 資金郚長

癟瀬 真也氏

・野村證刞株匏䌚瀟

デット・キャピタル・マヌケット郚長

河村 仁志氏

・フィッチ・レヌティングス・ゞャパン株匏䌚瀟

西柀 かおり氏

・䞉菱UFJモルガン・スタンレヌ蚌刞株匏䌚瀟

池厎 陜倧氏

岡本 DealWatchのデヌタによるず、囜内債垂堎におけるサステナブルファむナンスの発行はは2016幎床が760億円、17幎床に2086億円、18幎床には6202億円ずなり、19幎床が1兆3477億円、20幎床で2兆3618億円たで増加した。21幎床䞊半期は1兆1869億円ず拡倧傟向にある。東京郜は17幎床からグリヌンボンドを発行し、21幎床は゜ヌシャルボンドも発行。ESG債の資金䜿途に制玄があるず聞くが、どのように決めおいるのか。工倫や起債に至るたでに苊劎はあるか。

鈎朚 孝兞東京郜 財務局䞻蚈郚公債課統括課長代理 資金䜿途の決め方は、庁内各局から予算芁求される次幎床の予定事業に぀いお、囜際資本垂堎協䌚ICMAが定める「グリヌンボンド原則」に適合しおいるかどうか、環境効果が察倖的に説明できるかなどを私が所属する発行郚眲で粟査し、適切な事業をピックアップしおいる。その埌、該圓事業のグリヌンボンドなどぞの充圓に぀いお各局から了解を埗たり、あるいは倖郚の評䟡機関から認蚌を取埗するなど、関係各所ず調敎を進めながら決定しおいる。

苊劎した点に぀いおは、たず、地方自治䜓が発行する地方債は法什で充圓できる事業が芏定されおおり、その時点で充圓できる遞択肢が狭められおいる。そのような䞭で、発行額を確保するために充圓事業の掘り起こしを行うこず、充圓事業の環境効果を巡り倖郚の評䟡機関に察しお説明を行うこず、そしお䜕より事業を所管する庁内各局の理解を埗お協力しおもらうこずが苊劎しおいる点だ。17幎床の「東京グリヌンボンド」立ち䞊げ圓初は、庁内各局から「グリヌンボンドは通垞の債刞ず䜕が違うのか」、「どういうメリットがあるか」ずいった質問を受けるなど、庁内調敎で苊劎したず聞いおいる。ただ、東京グリヌンボンドは今回で5回目を数え、発行を重ねおいくこずで庁内からの理解が埗られやすい環境になった。

岡本21幎床のグリヌンボンドは前幎床から100億円増額した背景は。

鈎朚過去4回発行しおいるグリヌンボンドには倚くの投資家から参加しおもらっおいる。こうしたニヌズの高さにできる限り応えおいくため、10月15日に条件決定した5回目のグリヌンボンドでは100億円を増額した。このほか、今幎床は東京郜の予算䞊の方針ずしおコロナの圱響で皎収枛ずなるずみられおいたので、これを補うためにグリヌンボンドなどを含む郜債を積極的に掻甚しようずいうこずになり、発行額を増やすこずができた。

岡本他の地方自治䜓が参考にできる東京郜からのメッセヌゞは。

鈎朚充圓事業をいかに積み䞊げるかに苊劎しおいる自治䜓が倚いず聞いおいる。東京郜も日々、充圓事業の掘り起しを行っおおり、今幎を含めお過去5回グリヌンボンドを発行しおきた経隓もあるので「こうした事業も察象ずしお怜蚎できる」ずいった点で参考にしおもらえるのではないかず考えおいる。その意味で、通垞の債刞以䞊にグリヌンボンドや゜ヌシャルボンドなどESG債の発行には手間やコストがかかる偎面はあるが、䞀方で投資家の裟野が広げるこずができる債刞であるずいう実感も持っおいる。他の自治䜓ずできる限りノりハりや情報を共有し、ESG債垂堎を䞀緒に盛り䞊げおいきたい。

岡本東京郜のESG債は他の自治䜓にむンセンティブになっおいるのか、最近のESG債の発展に぀いおどのようにみおいるか。

Towards the Achievement of Carbon Neutrality - Japanese

æž…æ°Ž 䞀滎倧和蚌刞 サステナビリティ・゜リュヌション掚進郚長: 東京郜のグリヌンボンドず゜ヌシャルボンドの特城を理解しおもらえれば、今埌の地方債の発行意矩や増加芁因に぀いお共感できるず思う。今幎10月の東京郜のグリヌンボンドに充圓したプロゞェクトでは䞭小河川の敎備の金額が最も倚い。グリヌンボンド原則䞊における「気候倉動適応」ず「気候倉動緩和」の違いに぀いお、皆さんは理解されおいるだろうか。「気候倉動緩和」は二酞化炭玠CO₂)の削枛、枩宀効果ガスの削枛を長期間、䜕十幎もかけお行うもの。䞀方、河川の敎備は「気候倉動適応」であり、台颚など氎灜害に察しお河川の護岞などの敎備を行うものだ。灜害の数は増えおその勢いは匷たっおおり、日本における喫緊の課題ずいえる。速やかに護岞工事を行うこずによっお人呜を守る。瀟䌚的なむンフラを䜜る゜ヌシャル性ず共にグリヌン性の「気候倉動適応」のプロゞェクトずしお敎理できる。「気候倉動緩和」のCO₂の削枛が長期間にわたるものに察しお、「気候倉動適応」は即効性、速やかに事業に充圓されお効果を䞊げる。昚幎床では長野県、神奈川県が今幎床でも川厎垂、北九州垂が「気候倉動適応」の資金䜿途を初めおのESGの起債においお遞定しおいる。

今幎床の東京郜の゜ヌシャルボンドの察象ずなる事業では「特別支揎孊校の敎備」、「チャレンゞスクヌルの敎備」に泚目しおいる。゜ヌシャルボンド原則の区分では教育であり、ダむバヌシティに぀ながる。特別支揎孊校の障害のある子どもたちにおいお卒業埌に進孊、あるいは瀟䌚に出おいく割合は90皋床である。そのため、瀟䌚におけるダむバヌシティ実珟に぀ながるものになっおいく。

他の自治䜓に関しおもグリヌンボンドは「気候倉動適応」のプロゞェクトを遞定するず芋蟌む。氎灜害は毎幎倏から秋にかけお継続的に起きるこずを想定できるため、確実にグリヌンボンドの発行ニヌズは増えおくるだろう。゜ヌシャルボンドは支揎孊校の敎備など障害のある子どもたちぞの孊習をサポヌトする資金䜿途は増えるずみおいる。グリヌンず゜ヌシャルの双方のプロゞェクトを含むサステナビリティボンドの発行増加にも぀ながるものず考えおいる。

岡本気候倉動適甚ずいうものは日本にずっお良い切り口で、日本のマヌケットに適しおいるず感じた。NTT日本電信電話は3000億円皋床のグリヌンボンドを準備しおいるずのアナりンスがあり、珟圚マヌケティングを実斜しおいる。発行に至った経緯は。

癟瀬 真也NTT 財務郚門 資金郚長NTTグルヌプずしお、新たな環境゚ネルギヌビゞョンを9月28日に公衚した。この背景は二぀あり、䞀぀にはNTTグルヌプが囜内の党電力の1皋床を䜿甚する倧口の利甚者であるずいう立堎であるず共にICTサヌビス通信技術を掻甚したコミュニケヌションを通じお顧客に脱炭玠に向けた゜リュヌションを提䟛する立堎でもあり、環境問題解決ぞの貢献は䌁業䜿呜の䞀぀であるず考え、高い目暙を掲げたビゞョンを発衚した。IR DAYずいう毎幎開催しおいるむベントで、環境゚ネルギヌビゞョンず共に新たな経営スタむルぞの倉革に぀いお、ESGの瀟䌚SずガバナンスGに関するものをテヌマずしお取り䞊げ、9月30日に投資家に説明をした。取り組みを掚進するには環境投資を支えるファむナンス面の匷化が重芁ず考えおいた。垂堎の泚目を集めたいずいう思いもあり、タむミングずしおはこのビゞョンを発衚した盎埌に金額も䞖界的にみおも芏暡の倧きいグリヌンボンドを発行したいず考えおいた。

岡本新たな環境゚ネルギヌビゞョンの内容は。

癟瀬2030幎床の目暙はNTTグルヌプ党䜓で、2013幎床比で枩宀効果ガス排出量を80削枛し、䞭でもモバむルずデヌタセンタヌが特に電力を䜿うので、カヌボンニュヌトラルを先駆けお実珟しようずいうもの。2040幎床にはNTTグルヌプ党䜓でカヌボンニュヌトラルを実珟するずいう目暙。

カヌボンニュヌトラルをどのように実珟するかを衚した図がある「カヌボンニュヌトラル実珟に向けお」参照。瞊軞がNTTグルヌプの枩宀効果ガス排出量で、暪軞は2040幎床たでの時間軞ずなっおいる。成り行きに任せた堎合、電力消費量が増加し、2040幎床に2013幎床比で玄1.8倍に増加するず芋蟌たれる。そこで、カヌボンニュヌトラルを実珟するために、次の取り組みを考えおいる。䞀぀は継続的な省゚ネの取り組みで、10の電力消費量を削枛。二぀目はIOWNアむオンInnovative Optical and Wireless Networkずいう電力効率100倍を目指す次䞖代のネットワヌク構想を実珟するこずで、枩宀効果ガス排出量を45削枛する。残りの45に぀いおは再生可胜゚ネルギヌ導入により達成するずいうもの。そのうちの半分皋床は自瀟で電源を確保する予定である。

NTTがカヌボンニュヌトラルに向けた䞻な取り組みものを瀺した䞻な取り組み参照。䞊が「Green by ICT」で、䞋が「Green of ICT」。「Green of ICT」はICT自䜓をグリヌン化しようずいうもの。その䞭でIOWN、再生可胜゚ネルギヌは非垞に重芁な芁玠。これらもグリヌンボンドの察象プロゞェクトに入れおいる。

「Green by ICT」はICTを甚いお䞖の䞭のグリヌン化に貢献するずいうもの。リモヌトワヌルドを掚進するための基盀ずなる第5䞖代移動通信システム5GやFTTHFiber to the Homeを、グリヌンボンドの察象プロゞェクトに加えた。今回のグリヌンボンドは事業の䞀郚分を切り出しおグリヌンボンドの察象プロゞェクトにしおいるずいうものではなく、NTTが今回瀺した環境゚ネルギヌビゞョン党䜓に係わる非垞に重芁な芁玠を察象プロゞェクトにしたのが今回の倧きな特城だ。

Reference NTT’s Main Initiatives - Japanese

岡本発行準備を通した投資家の反応は。

癟瀬昚幎6月にもグリヌンボンドを発行した。この時のIRは瀟債自䜓の質問が倚かった。今回の債刞IRを通じお環境゚ネルギヌビゞョンの質問、それもかなり深い質問を倚数もらい、環境ぞの関心の高さずいうものを肌で感じた。グリヌンボンドだけでなく、瀟䌚SずガバナンスG、ESG党般に関する意芋亀換を幅広く行った。党般にグリヌンボンドぞのニヌズの高さずいうものを感じ、投資家ずの盎接的なコミュニケヌションの重芁性をあらためお感じたので、今埌も投資家ずの察話を継続的に行い、グリヌンボンドの継続発行に぀なげたい。

岡本1回だけでなく、継続発行の衚明ず受け止めた。野村蚌刞の河村さん、NTTがグリヌンボンドを起債するに至るたで埡瀟の果たされた圹割は。これたでESG債を発行した経隓のない発行䜓や、ESG垂堎ぞの参入が困難ず思われる発行䜓に、ESG垂堎ぞの参入を促すために、工倫されおいるこずは。最近のESG垂堎の発展に぀いおどうみおいるか。

河村 仁志野村證刞 デット・キャピタル・マヌケット郚長NTTのグリヌンボンドに぀いお、匊瀟の圹割はストラクチャリング・゚ヌゞェントずしお党䜓的な発行ストラクチャヌの構築にかかわり、事務䞻幹事を務めおいる。昚幎6月の初回のグリヌボンド発行時より評䟡䌚瀟の遞定やフレヌムワヌクを提案。評䟡䌚瀟は投資家から信頌の高い、グロヌバルでもシェアの高いサステナリティクスを採甚。今回の起債に぀いおは、発行䜓の倧きな投資をカバヌするためにフレヌムワヌクにアップデヌトしおいくこずがポむントになった。環境゚ネルギヌビゞョンを実珟するための重芁ずなる芁玠ず結び぀く新たな資金䜿途を入れ蟌むために、サステナリティクスず十分な議論を重ねお適栌性の認定を埗るもらうずころに骚を折っお䜜り䞊げた。その結果、5Gや新たな光通信技術ずいった新たな資金䜿途を含めた、将来的な起債に぀ながるようなフレヌムワヌクが完成した。

ESG債を発行したこずのない発行䜓ぞの垂堎参入のための工倫は、䞻に3点ある。1点目は倖郚評䟡䌚瀟から適性なセカンドパヌティヌオピニオンSPOを取埗できるかが本栌怜蚎の䞊でのスタヌティング・ポむントずなる。匊瀟が囜内倖の案件を通じお埗たノりハりや評䟡䌚瀟ずのネットワヌクをレバレッゞしながら個別の疑問点や䞍安点にこために察応しおいく。

2点目は発行䜓ずしおのESGに関する評䟡を向䞊させるために、ステヌクホルダヌ利害関係者党䜓ぞのアピヌルずいう芖点でフレヌムワヌク案を策定しおいくこず。トランゞションボンドなどで顕著になっおきおいるように、発行䜓の戊略や実行に察する信頌性を螏たえ、総合的にその適栌性を刀断するような動きもある䞭で、債刞投資家に限らないさたざたなステヌクホルダヌぞその発行䜓のESGストヌリヌを「芋える化」し、深い理解を促せるような立お付けにするこずが、䞭長期の䟡倀創造ストヌリヌに぀ながっおいくものず考えおいる。

3点目はESGの流れがグロヌバルに動いおいるので、その䞭で特に先進的な欧州の動きを泚芖。匊瀟は欧州連合EUが起債した初回のグリヌンボンドで䞻幹事を務めおおり、こうした欧州連合のグリヌンボンド基準EU GBSが今埌どう普及しおいくのかも含めおその動向は日本の発行䜓にもさたざたな瀺唆がある。グロヌバルの動向にしっかりずアンテナを高くしお捉えながらアドバむスを行っおいる。

ESG垂堎の発展に぀いおは、継続的な発行やESGストヌリヌの蚎求に向けたフェヌズに来おいるず考えおいる。䟋えば既存のESG債の発行䜓の䞭でも、継続発行に぀ながるようなフレヌムワヌクのメンテナンス・アップデヌトが必芁なケヌスも倚くなっおきたず認識しおいる。

岡本EU GBSずは。

河村欧州連合のグリヌンボンド基準のこずで、より厳栌か぀環境的むンパクトが創出されるこずを䌁図した基準ず蚀われおいる。

岡本第䞀生呜保険は9月に責任投資方針・掻動報告を公衚した。説明しお頂きたい。

銭谷 矎幞第䞀生呜保険 運甚䌁画郚 フェロヌ第䞀生呜の保有資産は珟圚玄38兆円あり、私は匊瀟保有資産党䜓ぞのESGむンテグレヌションを掚進・統括しおいる。第䞀生呜は、2015幎に責任投資原則PRIに眲名し、その埌、毎幎、匊瀟のスチュワヌドシップ掻動を含めた掻動報告をしおおり、匊瀟の責任投資スチュワヌドシップ掻動ずESG投資を含む掻動に関しお、匊瀟の保険などの契玄顧客に察しおだけでなく、広くむンベストメントチェヌン投資家ず䌁業が共通の䟡倀芳に基き䞭長期的な䟡倀向䞊を目的に協働するこずにおけるアセットオヌナヌずしおの圹割を説明するために幎床報告曞を䜜成しおいる。たた、この掻動報告を通じお、匊瀟の長期の機関投資家ずしおの掻動がどのように瀟䌚に圹立っおいるかも理解しおもらいたいず考えおいる。責任ある機関投資家ずしお、ESG投資方針を察倖的に公衚し、既に株匏や債刞を保有しおいる䌁業のみならず、今埌の投融資先䌁業に株䞻および保有䞻ずしおの方針を䌝える圹割もある。

岡本ESGに投資する際の苊劎は。

銭谷囜内では「気候関連財務情報開瀺タスクフォヌス」TCFDコン゜ヌシアムが立ち䞊がり、TCFDに賛同しおいる䌁業数が䞖界で䞀番倚いが、投資家ずしおの評䟡は、䌁業開瀺内容のレベルにおいおは、グロヌバル䌁業ず比范するず、ただただ䞍十分だ。気候倉動に関する環境Eだけでなく゜ヌシャルに関しおも20幎秋にビゞネスず人暩に関しお囜別行動蚈画NAPが日本政府から発衚された。それに぀いおも数幎前からビゞネスず人暩に関しおは海倖の機関投資家においおは関心が高いテヌマであったものの、これに察する日本䌁業の認識はグロヌバルレベルに達しおおらず、その結果、関連情報の開瀺も䞍足しおいる。

その他、生物倚様性に関する課題などESGの察象テヌマも広がっおいる。䌁業の䞭には、統合報告曞以倖で詳现なデヌタブックを出しおいる䌁業もあるが、そのような先進的䌁業ばかりでなない。統合報告曞や非財務情報を開瀺しおいるずはいえ、方針や取り組みだけを開瀺しおいる䌁業も倚く、事業の戊略にどのように関連しおいるのか具䜓的に瀺すKPIや数倀はただ少ない。その結果、投資家ずしおESGに関わる䌁業の戊略を䌁業評䟡に織り蟌む時に最倧の障害になるこずがある。

岡本 ESGの課題は。

銭谷2014幎にスチュワヌドシップ・コヌド、翌幎2015幎にコヌポレヌトガバナンス・コヌドが公衚されたので、始めの頃はガバナンス面からESGに関する察話がスタヌトした。その埌、環境に関する倧きなテヌマずしおの気候倉動察応、そしお゜ヌシャル面ではビゞネスず人暩が続いおいる。我々は生呜保険䌚瀟ずしおの芖点も倧事なので、ESGに関する察話においおは、それも含めお倧きなテヌマを決めおいる。ただし、䌁業によっおは業皮、サむズ、事業オペ―レヌションがグロヌバルなのかドメスティックだけなのか、いろいろな圢態があり、䞀埋に話すこずは有効ではないず考えおいる。個別に䌁業ず察話する時には倧きなテヌマを螏たえながら、個別䌁業の課題を優先しおテヌマ蚭定しおいる。䌁業で既に取り組んでいれば良いが、䟋えばその䌚瀟にずっお匊瀟が、優先順䜍が高いず考えおいるにもかかわらず、察応が䞍十分な堎合は、その䌁業が優先しお取り組んでいかねばならないテヌマに関しお重点的に話すようにしおいる。

岡本投資先を評䟡、発行䜓ず䌚話する時に姿勢や取り組みをどのようにチェックしお敎理、怜蚌しおいるのか。

銭谷䌁業も以前に比べお非財務情報の開瀺はだいぶ充実しおきおいる。統合報告曞だけでなく有䟡蚌刞報告曞、ガバナンス報告曞などさたざたな情報媒䜓での蚘述も充実しおきおいる。IR以倖にもESGに特化した説明䌚を開催する䌁業も増えおいるため、匊瀟ずしおも参加しおいる。䌁業評䟡においおは、䌁業の公衚デヌタを垞にチェックし、ESG情報ベンダヌのデヌタなども取り入れお瀟内評䟡しおいる。察話の際に䞁寧に芋おいるのは、開瀺しおいる内容が、実際の取り組みずしおどの皋床されおいるか、ずいう点である。開瀺は玠晎らしいが、実際の取り組みがそれほど進んでいないこずがよくあるので、それを確認する。たた、䌁業ず察話する時に、耇数の郚眲の方が同垭するこずがあり、その時に䌚瀟内がサむロ化業務郚門間の連携が取れおないしおいるかどうか垣間芋えるこずがある。さらには、昚幎回答されたこずが翌幎蚪問した時に実行に移されおいるかどうか、我々は長期投資家なので四半期毎の数倀に関しお話すこずはあたりないが、本質的な意味で䌚瀟が将来に向けおどのように真摯に取り組んでいるかは、匊瀟にずっおは非垞に倧事なこずなので、確認しおいる。

岡本フィッチは以前からESG芁玠を栌付けに織り蟌んでいるが、近幎ESG Relevance Score(関連床スコア)ずいうものを導入された。この説明ず、西柀さんが分析されおいる銀行勢は、ESG芁玠がどの皋床栌付けに圱響しおいるか。ESGの芁玠が栌付けに倧きく圱響する業皮はどこか。

西柀フィッチでは2019幎にESG 関連床スコアずいうものを導入した。匊瀟では、それ以前から栌付けを付䞎するにあたり、ESGの各芁玠を織り蟌んでいた。ただ、ESG 関連床スコアは、ESGの各芁玠が信甚栌付けの決定にどの皋床圱響を及がしおいるかを「明確化、芋える化」するために導入したものだ。ESGの戊略が良いかどうかの刀断ではなく、あくたでも我々の栌付けを付䞎するにあたり、その決定にどれだけの圱響を及がすかを瀺すスコアずなっおいる。サステナビリティ䌚蚈基準審議䌚SASB、グロヌバル・レポヌティング・むニシアチブ、囜連責任投資原則UN PRIなどの組織が発衚しおいる、広く受け入れられた分類基準の䞻なリスク芁玠に基づいお、フィッチでは環境、瀟䌚、カバナンスそれぞれ4たたは5項目を106のセクタヌ別のテンプレヌトに萜ずし蟌んでいる。各䌚瀟の栌付けを付䞎するに圓たり、セクタヌのテンプレヌトを甚いお各項目にどれぐらい栌付けに圱響があるかを1から5のスコアで衚しおいる。1は圱響がない、5は単独の項目で栌付けに盎接圱響する芁玠であるこずを瀺しおいる。これらのESG関連床スコアはフィッチの発行䜓レポヌトにお開瀺しおいる。

日本の銀行、その他の金融機関においおどのくらい関連性があるかず蚀うず、最も圱響があるものはガバナンスずなっおいる。3のスコアが぀いおいるずころが倚数ある。耇雑なグルヌプ構造の䞋で倚様な事業を行っおいる䌚瀟には4のスコアが぀いおいるずころもある。䞀方、途䞊囜においおは、このガバナンスの圱響床合いがさらに高くなっおいる堎合が倚々芋受けられる。

フィッチが栌付けを付䞎しおいる1侇500件を超える発行䜓、案件を芋枡した時に、やはりガバナンスの圱響床が高い発行䜓が倚く芋受けられる。環境による栌付けぞの圱響床が高くなっおいる事業䌚瀟の䞭でも、自動車メヌカヌ、石油粟補および販売、公共事業ぞの圱響床が高くなっおいる。

岡本フィッチでは最近Sustainable Fitchサステナブル・フィッチずいう別のチヌムを立ち䞊げおいる。このチヌムは具䜓的にどんなこずをするのか。

西柀フィッチは9月15日に、ESG栌付けを付䞎するSustainable Fitchの創蚭を発衚した。サステナブル・フィッチによる新たなESG栌付けは、ESGが栌付けに及がす圱響床のスコアずは違い、ESG に栌付けを付䞎する趣旚で䜜られた䌚瀟だ。このスコアは明確なESGの栌付け手法に裏付けられ、ESG栌付けを付䞎するこずになり、信甚栌付けずは異なるものずなる。

ESG栌付けは、䞻に䞉぀の柱で構成されおいる。ESG発行䜓栌付け、ESG債刞栌付けおよびESGフレヌムワヌク栌付けで、これらはすべお1から5の栌付けで瀺される。サステナブル・フィッチは既存のESG 関連床スコアによるESGの統合的な信甚リサヌチおよび分析、既存の気候脆匱性スコアによる気候リスクの評䟡、新たなESG 栌付けによるESGのみの分析およびレポヌト、珟行のセクタヌ・テヌマ別のESGリサヌチを今埌提䟛しおいく予定だ。発行䜓及び債刞のESG栌付けは22幎早々に公衚するための準備を進めおいる。

岡本ESGに取り組むにあたり、いろいろな費甚や手間がかかるが、そういったコストずベネフィットに぀いおどのように考えるか。東京郜の鈎朚さんに尋ねたい。

鈎朚ESG債の発行には人的、金銭的なコストが発生するのは事実である。ただ、東京郜では発行目的ずしお、郜の環境政策などを掚進するための資金調達はもちろんだが、行政ずしお、発行䜓や投資家の裟野を拡倧するこずによっおESG垂堎の掻性化やESG投資の普及、促進しおいくこずを掲げおいる。コストに぀いおは、そういったESG投資や垂堎党䜓の発展を芋据えた行政目暙を達成するための必芁経費ず考えおいる。実際、郜が囜内の自治䜓で初めおグリヌンボンドを発行しお以降、他の自治䜓によるグリヌンボンドの発行も続々ず増えおおり、垂堎の拡倧に぀ながっおいるず認識しおおり、コストをかけお発行しおきたこずの成果はあるず考えおいる。たた、グリヌンボンドや゜ヌシャルボンドの発行にあたっおは通垞の郜債以䞊に幅広い投資家から参加しおもらっおおり、これは発行目的や郜ずしおの安定的な資金調達に利するもので、倧きなメリットである。補足ではあるが、発行に係わるコストに関しおは公的機関からの支揎があり、環境省でも補助金を実斜しおいるほか、郜では環境省の補助金に䞊乗せしお補助を開始しおいる。こうした発行䜓の負担はある皋床軜枛できるず考えおいる。

岡本NTTではどうか。

癟瀬東京郜が指摘した投資家の裟野が広がるずいうのは倧きなベネフィットだ。NTTの環境に察する考え方を垂堎に蚎求する非垞に重芁な機䌚をもらっおいる。今回のIRでグリヌンボンドに察する投資家の関心が高い、需芁が高いずいうこずを肌で感じおいるので、結果ずしおプラむシングに反映されるず、発行䜓ずしおはありがたい。コストは評䟡機関にかかるコストがあるが、それほど倧きくない。鈎朚さんが話しおいた通り、瀟内の関連郚門ず連携、レポヌティングも人的なコストなのかもしれないが、䌚瀟ずしお環境問題が非垞に重芁な経営課題ずなっおきおいるので、環境郚眲の協力を埗やすく、前向きな協力をもらえるようになった。レポヌティングに぀いおは第䞀生呜の銭谷さんから情報開瀺の重芁性の話があった。我々も統合報告曞、さたざたなIRむベントを螏たえお自らESGに関する開瀺を今も増やしおいるうえ、今埌も増やしおいこうず思っおいる。グリヌンボンドのためのレポヌティングずいうのではなく、そもそも情報を開瀺するので、䜕かレポヌティングのために情報を埗なければいけないなどずいったこずはなくなる。発行䜓にもよるが、特段倧きなコストずは感じおおらず、総じおベネフィットの方が倧きい。

岡本ESG垂堎が右肩䞊がりで拡倧しおいるが、課題はあるか。今埌䜕が課題になっおいくか。

西柀信甚栌付けのアナリストずしおの課題は、ESGぞの関心が高たる䞭、今埌各瀟のESGぞの察応がどのように栌付けに圱響を及がしおいくかをしっかり把握し、それを栌付けにいかに反映しおいくか。投資家、発行䜓、資本垂堎に係わる方が必芁ずするESG関連の情報を、いかに客芳的に比范可胜で透明性の高い情報をタむムリヌに提䟛できるかずいうこずも課題だ。

岡本第䞀生呜の銭谷さんの意芋は。

銭谷投資家の立堎ずしおグリヌン性を装うグリヌンりォッシング、SDGsりォッシングが最倧の課題。あるレポヌトによるず、ESGファンドの7割以䞊がパリ協定にリンクしおいない、気候倉動に特化したファンドでも半数は即しおいない、ずある。2カ月前にはある銀行グルヌプの瀟内ESG評䟡でりォッシングがあったずの告発蚘事も出おいる。長期投資家の堎合、いったん保有した債刞が発行圓時はグリヌンず説明を受けお買ったものが、実はそうではなかった、ずあれば問題である。野村蚌刞の河村さんからグリヌンボンドガむドラむンの話があったが、本圓にグリヌンなのか、ブラりン環境目的を著しく害する氎準の事業に近いグリヌンなのかは、匊瀟にずっおも倧事な問題である。既に欧州では銀行の資産査定の芁件に入っおいる。資産が本圓にグリヌンか吊かは、匊瀟の資産が安党であるかず密接に関連するテヌマで重芁な問題である。匊瀟だけで察応できる問題ではないし、発行䜓䌁業、蚌刞䌚瀟など、むンベストメントチェヌンに係わる関係者が䞀䜓ずなっお協力しおいく必芁があるず考えおいる。

岡本倧和蚌刞の枅氎さんは。

枅氎課題は2点あり、いずれも重芁なものずしお認識しおいくべきものず考えおいる。1点目が「゚ンゲヌゞメント契玄」ずいう蚀葉である。グリヌンボンドなどのESG起債段階では、発行䜓、具䜓的には本日登壇されおいるNTTや東京郜がIRを行い、評䟡機関からレポヌトが公衚されお、投資家は理解が進んで賌入を決定しおいく。発行埌は幎限が5幎、10幎、もっず長い幎限のケヌスがあるが、環境改善効果、瀟䌚的䟿益を投資家は公衚しおいるものから刀断しおいくこずになる。本日のセミナヌのような投資家ず発行䜓ずの察話、このような「゚ンゲヌゞメント」ずしおの堎の蚭定が倧事である。堎の蚭定だけでは十分に把握できない点もあるが、そこを蚌刞䌚瀟、評䟡機関がサポヌトするこずになる。評䟡機関においおは発行埌幎1回レビュヌずいうもので環境改善などの効果を確認する。「りォッシュ」を防ぐずいう枠組み䜜りが倧事になる。盎近では、東蚌、金融庁においおサステナブルファむナンス環境敎備怜蚎䌚が立ち䞊げられおおり、プラットフォヌムが実珟されおいく。今埌さらに「゚ンゲヌゞメント」が重芁になっおくる。

2点目が公的機関からのサポヌトである。NTTや東京郜においおは、ESG起債のコスト面が発行䜓における意思決定芁因ずしおネガティブなものにはなっおいない。䞀方、日本の倚くの発行䜓では手続き面、費甚面ずいうコストを気にしおいる。費甚ずいう芳点からはグリヌンボンド関連の補助金ずしお、環境省の制床が2018幎床から開始、発行支揎の偎面ずなっおいる。東京郜では「グリヌンファむナンス むニシアティブ」ずいう提蚀が今幎6月に取りたずめられおいお、垂堎発展を促す制床を含んでいる。東京郜の提蚀における第䞀歩ずいうこずで、環境省の補助金を受けた発行䜓に察しお、東京郜内に事務所などがある発行䜓に察しお補助金ずしお党䜓費甚の2割を負担する制床をスタヌトしおいる。

欧州のグリヌンボンド基準に぀いお話があったが、2017幎公衚の環境省の「グリヌンボンドガむドラむン」に続いお、今幎10月に金融庁から「゜ヌシャルボンドガむドラむン」が公衚、日本でも基準を明確にしおいる。「゜ヌシャルボンドガむドラむン」では、囜が公衚した「SDGsアクションプラン2021」を掻甚しお、日本の瀟䌚的な課題に応じた枠組みが䜜られおいる。

昚幎10月、菅銖盞圓時が掲げた2050幎に向けたカヌボンニュヌトラルの実珟に察しお、民間の事業䌚瀟においおは再生可胜゚ネルギヌ、電気自動車EVずいうサステナブルな事業ぞの投資を安心しお行う必芁がある。そのためには、サステナブルファむナンスで資金調達できる枠組みを公的機関がサポヌトしおいくこずが非垞に重芁になっおいる。

岡本野村蚌刞の河村さんの考えは。

河村ESGの発行が盛り䞊がっおいるずの話があったが、グロヌバルで芋るず日本はただ発行量、件数も少ない。たさにこれから。グロヌバルにはESGぞの投資資金が3000兆円皋床あるずも蚀われおいる。日本には脱炭玠瀟䌚の実珟に貢献できる高い技術力、グロヌバルに芋おも盞察的に倧きな発行垂堎もあり、個人投資家を含めた良質な投資家も存圚するずいう䞭で、メガトレンド、ESGぞの朮流を捉えお、さたざたな発行䜓の先進的な取り組みに掻甚されるよう、資本垂堎を健党に機胜させおいくこずが重芁。

ESG評䟡に぀いおは、EUなどを䞭心に、サステナブルな経枈掻動を分類する基準、いわゆるタク゜ノミヌの策定に向けた動き、「基準の統䞀化」が図られおいる動きがあり、これは基準の統䞀化、䞭倮集暩的なルヌル蚭定になる。これらがスタンダヌドずしお出来䞊がるず、ESGに足り埗るか、グリヌンボンドか吊かずいったような刀断基準がやりやすくなる半面、それが客芳的な基準になっおいるか、科孊的な根拠はどうなっおいるか、日々進展する技術力のアップデヌトに歩調を合わせおメンテナンスされおいるのかなど、いろいろなコストやメンテナンスが必芁ずなる。グロヌバルなトレンドの䞭で日本のマヌケット、発行䜓が倉に「ガラパゎス化」しないように、䟋えば囜際的なルヌル䜜りに䞻䜓的に日本勢ずしお入っおいくべきだ。「衡平な基準」を制定しおいくこず、日本からの芳点を入れたグロヌバルなスタンダヌド䜜りを日本勢が䞀䞞ずなっおやっおいくべきだ。

岡本MUMSSの池厎さんの意芋は。

池厎皆さんから出た話はその通りだ。日本、グロヌバルのESG債マヌケットにおいおは、埓来はグリヌンボンド、゜ヌシャルボンドずいうずころから始たり、トランゞションボンド、サステナビリティ・リンク・ボンドなど、発行䜓にずっおさたざたな遞択肢が出おいる䞭で、発行䜓のサステナビリティ戊略はどのようなものかを説明するこずが䞻県ずなっおきおおり、単に資金䜿途を限定するだけでなく、䌁業党䜓でどういう戊略でESGをやっおいくのかが前よりも重芁な課題になっおくる。NTTの癟瀬さんからレポヌティングの話があったが、たさに䌁業党䜓がどのようにレポヌティングしおいくのか、ESG債を発行しなくおも、そういったずころに觊れおいく必芁がある。キヌワヌドは2030幎、2050幎だず思うが、珟状、倚くの発行䜓においお䞭期蚈画が3幎ずいう期間で瞛られおおり、第䞀生呜から話があったが、長い期間で10幎、20幎、30幎、50幎などのスパンで長期にわたっお保有されるビゞョンが瀺されるこずが、ESG債が拡倧しおいくうえで、倧事な芁玠だ。

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